怠惰(怠け癖)による逃げ癖のカウンセリング

 怠惰(怠け癖)による逃げ癖とは、「自分の好まない状況から逃げて楽な道を選ぶ」ことが習慣化された振る舞いをいいます。

 

 怠惰による回避行動も不安による回避行動と同様に、不快な感情を避けるための防衛的な行動として捉えることができます。怠惰(怠け癖)による逃げ癖のカウンセリングでは、回避行動を生み出す思考や感情に着目するなどして回避行動をせざるを得ない原因を明らかにし、建設的な行動がとりやすい心の状態を作り上げていくことで逃げ癖の改善を目指します。

怠惰(怠け癖)による逃げ癖の例

〇自分の好まない仕事を回避して自分の好む仕事を優先しがち

〇自分の好まない仕事がある日は仕事を休みがち

〇面倒くさいタスクへ速やかに着手できない

〇自分に有益なことだとわかっていても面倒くさいことには近づかない

 

 自分がその回避行動を面倒くさいことをやらないで済む「良い方法だ」と思ってしまうと、その回避行動が習慣化してしまうことがあります。これが怠惰による逃げ癖です。

怠惰による逃げ癖と先延ばし癖の関係

 面倒くさいタスクから逃げ続けることによって、結果的にそのタスクが先延ばしになってしまうこともあるでしょう。怠惰による逃げ癖と先延ばし癖は密接な関係にありますが、これは先延ばし癖の原因が怠惰による逃げ癖であると捉えることができます。先延ばしは行動的結果に過ぎないのです。

人間は怠惰(怠け癖)による逃げ癖を持ちやすい生き物です

 まず理解していただきたいことは、人間はそもそも快楽原理に従って動き、ただちに充足を求めようとする生き物であるということです。よって人間は「面倒くさいからやりたくない」などといった怠惰な思考に従い、「逃げる」という道を選んでしまうことはよくあることなのです。

 

 「楽であるに越したことはない」は怠惰な思考ではありません。ただ、この考えがエスカレートして「いつも楽でなければ嫌だ」になると問題が起こるのです。人間は生得的に、自分の考えをエスカレートさせてしまう傾向があります。ですからそこだけ抑えられるようになればよいのです。「楽をしようだなんて決して考えてはならない!」などと、ストイックな態度が持てなければ怠惰による逃げ癖を克服できないというわけではないのです。強すぎる欲求を弱めるだけで行動変容がなされます。

怠惰を正して逃げ癖を克服することは不可能ではない

 人間は幸運なことに怠惰を正す力を持っています。自分の怠惰な思考に自分が抵抗することによって、怠惰は自分の力で正すことができるのです。怠惰な思考に従うか抗うかの選択権は、いつも自分が持っているということを忘れないでください。

 

 

 「怠け癖はなおらないものだ」、「逃げ癖はなおらないものだ」などと諦める必要はありません。「怠惰を正して逃げ癖を克服したい」という強い気持ちがあれば、それを実現させることは不可能ではないのです。

自分の人生哲学が怠惰(怠け癖)による逃げ癖を生み出す

 逃げ癖につながる怠惰な思考は、自らの人生哲学を言い表していたりするものです。例えば「私はいつも快適であるべきだ」や「私は不快を避けて通らなければならない」などです。これらの人生哲学に従うことで、そのときだけは快適な気分になれるでしょう。しかし結局は、いつも自分を苦しめることになってしまいます。

 

 怠惰による逃げ癖を改善させるために、その逃げ癖を生み出すご自身の人生哲学を深く観察してみることが役に立ちます。

心の病による意欲低下が怠惰な振る舞いを引き起こしていることもあります

 うつ病等の心の病による意欲低下が怠惰な振る舞いを引き起こしていることがあります。例えば、長期間に渡って一日中気分がひどく落ち込んでしまっていたり、その気分の落ち込みの理由がはっきりと思い浮かばないときなどは、心療内科等の医師に相談されることをお勧めします。気分が改善されれば意欲が高まり、怠惰な振る舞いが解消されることがあります。

 

 なお、気分の落ち込みが特定の出来事によって引き起こされたということをご自身ではっきりと認識できている場合には、カウンセリングでその出来事について丁寧に話し合うことで気分の落ち込みを改善させ、意欲を高めていくための取り組みを行うことができると考えております。

怠惰(怠け癖)による逃げ癖を改善するために

 困難な状況から逃げ、より楽な道を選択しても、結局のところそれは楽な道とはなりません。「課題を回避することによって目先の楽を手にすることができたけど、のちに困難な状況に陥ってしまった」などは、その典型的な例です。

 

 面倒くさいにしても「現実逃避するのではなく、正面から取り組んでいくことが最良の方法である」ことに納得し、その理解を行動につなげることで怠惰による逃げ癖の改善が実現されます。

現実逃避せずに取り組むためにはエネルギーが必要

 怠惰な思考がしっかりと染みついてしまっているがゆえ、「現実逃避せずに取り組むことが最良の方法である」ことを頭で理解できていても、目の前の現実に正面から向き合おうとすると「やる気が出ない」、「頑張れない」と行動に移すことができないこともあるかと思います。

 

 やりたくないことに向き合うにはそれ相応のエネルギーが必要です。エネルギーをしっかりと貯めて、やりたくないことに向き合いやすい状態に自分を整えることが肝要です。このことを軽視してはいけません。エネルギーをしっかりと貯めることで「やる気が出ない」、「頑張れない」の問題をいくらか解消できる可能性があるからです。この点については先延ばしや逃げ癖を改善させるための準備について解説したミニ実用書をダウンロード販売しておりますので、興味をお持ちの方はご参考にしてみてください。

 

ありのままの自分を認める

 課題を目の前にしたら「やらなきゃ!甘えちゃいけない!」などとあまりストイックに考え過ぎずに、課題から逃げたがっている自分をまずは自分で認めてみてはいかがでしょう?「やっぱりやりたくないよね」などのように。

 

 

 現時点で怠惰な思考に上手く抵抗できずにいる自分を「そんな自分はイヤだ!」と自己否定している状態では、スムーズに前へ進むことが難しくなります。ありのままの自分を認めることが、怠惰による逃げ癖をスムーズに改善させていくことの役に立ちます。

大切なのは「やりたくないことをやれるようにする」こと

 

 怠惰による逃げ癖を改善させるために大切なことは、「やりたくないことを好きになるようにする」ことではなく、「やりたくないことをやれるようにする」ことです。「やりたくない」ものはやりたくないままでいいのです。誰にだって嫌いなことのひとつやふたつはあります。それを否認したり変に合理化する必要はありません。

 

 「やりたくないけどやる」ことに慣れることで、怠惰による逃げ癖を克服することができます。これは決して不可能なことではありません。課題を目の前にしたときに「やる」と「やらない」のたった二つの選択肢の中から「やる」を選択できるようになるだけでいいのです。これはとても現実的な話で、運に左右されるようなことでもありません。「楽しいものではないけど、やれないこともないよ」と言えるようになれば、その逃げ癖は改善されたと言えるでしょう。

「面倒くさい」の言葉を観察する

 怠惰(怠け癖)による逃げ癖につながる言葉がいくつかあるはずです。例えば、課題に取り組もうとするときに「面倒くさい」の言葉が頭に浮かぶようでしたら、その「面倒くさい」をよく観察してみてください。「面倒くさい」にはいろいろな「面倒くさい」があります。「何がそんなに面倒くさいのか?」についてよく考えてみることです。「つまらない」や「興味がない」は前提として、そこから先、少し奥まで観察してみてください。

 

〇課題の量が多いから?

〇課題が難しいと感じるから?

〇課題完遂までの見通しが持てていないから?

 

 このように「面倒くさい」の対象はいろいろ考えられます。その対象が明らかになると、漠然と「面倒くさい」と思いながら課題に取り組もうとするときとは少し違った態度で課題に向き合うことができている自分に気づくはずです。それは課題への取り組みを阻害する障壁を明確化したことによります。そうなればあとは単純に、具体的な策を講じてその障壁を乗り切ることに集中するのみです。怠惰による逃げ癖を改善させるために、自分を「面倒くさい」と思わせる「何か」を自分が明確に理解することが大切です。

怠惰(怠け癖)による逃げ癖の改善にカウンセリングの必要性を感じる場面

 「この逃げ癖は自分の怠け癖が原因だ」と主張するクライエント様は多いです。しかし、カウンセリングで「面倒くさい」等の怠惰な思考が逃げ癖の原因ではないことが明らかになることは少なくありません。逃げ癖の原因をしっかりと見極めなければ、逃げ癖を改善することはできません。このような場面で私はカウンセリングの必要性を感じたりします。

 

 例えば「私は怠惰な人間だからこれまでずっと職場での会食の幹事に指名されることを回避し続けてきたのだが、これからはそういったことも逃げずにやれるようになりたい」と願うクライエント様がいたとします。しかしセッションで話し合いをしてみると、それは怠惰な思考が原因の回避行動ではなく、「自分に幹事をやれる能力があるのか?」、「自分が幹事をやるだなんてとんでもないことだ!」などの不安や恐怖を生み出す思考が回避行動の原因だった、などというケースです。

 

 逃げ癖の振る舞いは多くの場合、怠惰(怠け癖)に見えてしまいがちです。その振る舞いの核心を見極めなければ、逃げ癖を改善するための具体的な取り組みを検討することすらできません。「面倒くさくてできない」ではなく、「怖くてできない」の回避行動もあるのです。また、「恐怖に向き合うのが辛い」を「恐怖に向き合うのが面倒くさい」とご自身で解釈してしまうこともあります。

 

 このあたりのことがカウンセリングの必要性を感じる部分です。自問して、自分の内面を深く見つめていく必要があります。カウンセリングではその作業をカウンセラーが強力にサポートすることができます。

怠惰(怠け癖)による逃げ癖の克服に必要な高い欲求不満耐性

 困難な状況に対してそれが「自分の手に負えるもの」か「自分の手に負えないもの」かを識別することはとても大切です。「自分の手に負えるもの」であれば、それを軌道修正するべく前向きな姿勢で取り組むことができます。しかしそれが「自分の手に負えないもの」であった場合には、その困難な状況を耐えるほかに方法はありません。このような場面で必要なものは、高い欲求不満耐性です。

 

 困難な状況を回避することなく正面から向き合い、じっと耐えること。怠惰による逃げ癖の克服にはこれが必要です。高い欲求不満耐性は、困難な状況に対する論理的で現実的な考え方・捉え方を身につけることによって手にすることができます。その取り組みはカウンセリングのテーマとなるものです。

怠惰(怠け癖)による逃げ癖のカウンセリングをご検討の方へ

 怠惰(怠け癖)による逃げ癖を改善させるために「やりたくないことをやる」というトレーニングは避けて通れないものですが、そのトレーニングを続けていくことで変化は必ず起こります。そのトレーニングは決して自分を裏切ることがないのです。

 

 こんなことを言うと「カウンセリングは厳しく、辛いもの」だと想像してしまうかもしれませんが、実際はそのような感じではありません。むしろクライエント様には明るい気持ちでカウンセリングに取り組んでもらう方が効率的に怠惰による逃げ癖を改善できると考えているくらいです。

 

 セッションを重ねていく中でクライエント様が「前進している」ことを実感し、進化の過程を喜び、楽しんでいただけたらと思っております。それが怠惰による逃げ癖を克服するためのモチベーションにつながると思うからです。

 

 仕事や学業など、いろいろな場面で回避行動が起こってしまうと思います。そんな自分を嫌悪してしまったり、まわりの人に迷惑をかけて罪悪感に苛まれてしまったりで、疲弊しきって無気力になってしまうこともあると思います。でもそんな状態がこの先もずっと続くだなんて誰にも言えません。「怠け癖を正して逃げ癖をなおしたい!」という強い思いがあれば、あとはその思いを行動につなげるのみです。怠惰(怠け癖)を正して逃げ癖を改善させることは決して不可能なことではないのです。

 

 「逃げずに向き合う」ことができるようになると、今まで見ることのできなかった世界が見れるようになるでしょう。その実現に向けて一緒に取り組んでいきましょう。私はカウンセリングを通じて、クライエント様が自己理解を深め、自分の傾向性を知り、自分の扱い方を習得できるよう強力に援助いたします。

 

カウンセラープロフィール

※精神科・心療内科へ通院されている方は、必ずカウンセリングを受けることに対して医師の承諾を得てからお申込みをされますようお願いします

カウンセリングのお申込みについて

 カウンセリングは完全予約制となります。お申込みをされた後に初回面接実施日時を調整し、決定いたします。

 

お申込み

初回面接実施日時の決定

初回面接実施

 

※初回面接はインテーク面接となります

 

※料金のお支払いは、出張カウンセリングは面接当日の現金払い、または前払い制の銀行振り込みとなります。オンラインカウンセリングは前払い制の銀行振り込みとなります

料金

〇先延ばし癖・逃げ癖改善カウンセリング(90分セッション)

出張形態 14,300円(税込み)

オンライン形態 9,900円(税込み)

カウンセリングをお申込みの前に

 出張とオンラインからカウンセリング形態をお選びください。セッション時間は共に90分です。各カウンセリング形態のシステム・料金等の詳細は、下のボタン「カウンセリング形態」ページからご希望のカウンセリング形態ページに入っていただき、ご確認ください。

カウンセリングお申込み

 カウンセリングの初回はインテーク面接を行います。コースの選択は「インテーク面接(出張)」・「インテーク面接(オンライン)」からお選びください。

 

 また、お申込みをされた時点でカウンセリングに関する注意事項および個人情報の保護に同意されたものとみなしますので、申し込みフォーム冒頭のお申込みのコースに該当する注意事項および個人情報の保護をクリックしていただき、必ずご一読されてからのお申込みをお願いいたします。

カウンセリングに不安を感じられる方は

 カウンセリングを受けることに不安や抵抗感を感じられる方は、インテーク面接のお申し込みをされる前にオリエンテーションプランのご利用をお勧めいたします。