ある一定の間隔で継続して行われるカウンセリングの主要な長所といえば、セッションで問題について話し合うことによって改善策を導き出し、それを実生活で実践し、そこから得られたデータをセッションで検証し、修正していくといった反復的、実践的な性質にあるのだと思います。これはカウンセリングでしか行うことのできないものであり、どんなに明快な自己啓発本やセミナーなどの講義であっても、この性質を十分に満たすことはできないと思います。よく「自己啓発本を何冊も読んでいるけど、全然成果が出ない」という声を聞きますが、それはこの理由によるところが大きいのではないかと思います。そこで得た知識を自分の思考と行動に適用することが上手くいかなかったということです。
基本的には長年かけて育て上げてきた自分の習性を変容しようとするならば(例えば「怠け癖」とか)、カウンセラーとの集中的で直接的なセッションを行うことなしに、それを達成させることは難しいのではないかと思います。ですが、誤解のないように。全ての人がそうであるとは言いません。新しい考え方や行動についての知識を得ることは誰でも可能なことで、その知識を自分の思考や行動に適用することについて何の「障害物」もなければ、その知識を武器に新たな第一歩を踏み出すことは可能なのです。問題はその「障害物」なのです。
この「障害物」は個別性のあるものですから、状況を難しくさせてしまいます。自己啓発本や大勢を対象とした講義などで得た知識は、それを自分の思考や行動に適用させるために、まずその適用を阻害する自分の中にある「障害物」について自己分析する過程が必要となります。そこが難しいところなのですね。その「障害物」には怠惰な気持ちや不安な気持ちなど、いろいろなものが考えられますが、それについて自己分析すること自体、大抵の場合限界があると思います。そこについてカウンセラーと一緒に話し合って考えていくことは、カウンセリングでしかできないことです。この点がカウンセリングの価値と言えるのではないでしょうか。
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