先延ばし行動や回避行動はどうして起こるのか?それは自らがそうする決断を下しているからにほかなりません。先延ばしの場合であれば、「課題をあとまわしにしてほかのことをやる」という決断を自らが下した結果であり、回避行動にしても「やめておこう」という自らの決断による結果としての行動であるわけです。ちなみに先延ばしの場合には、意図せずに「気がついたら先延ばしをしていた」などというものもあります。そのような場合であっても、意識的、無意識的に関わらず、先延ばしをすることを決断している瞬間というものは確かにあるものです。
例えば、「課題をやろうとしていたのに、ほかのことに気をとられてしまい、気がついたら課題を先延ばしにしていた」などという場合でも、ほかのことに気をとられてしまった時点で「課題をあとまわしにしてほかのことをする」と暗黙のうちに決断していると捉えることもできるのです。
そういうことなので、私は先延ばし行動や回避行動のお悩みに対するカウンセリングでは、それらの行動を決断するまさにその瞬間の出来事に着目して話し合うことが多くあります。そこでどんな話し合いをするかと言ったら、「その瞬間的な出来事をどう生き抜くか」ということについて話し合うのです。瞬間的に頭に湧いてくる「課題をあとまわしにする」や「やめておこう」をパシッと封じるにはどうしたらいいかの話し合いです。
言葉で言うのは簡単ですが、確かにこれは難しいことです。それを実践する際に役立つものとして、事前に「それをやる」という決断をした結果と「それをやらない」という決断をした結果を比較して考察することは良いことだと思います。先延ばしや回避行動を行った結果、自分は何を得て、何を失うのかを理解することは、瞬間的に生み出されるネガティブな考えを封じることの役に立つはずです。
なお、自らが意図していない先延ばしについては、物的環境の側面から対策を講じる必要があるかもしれません。しかしこの場合でも、「それをあとまわしにしてほかのことをする」の決断を下すその瞬間的な出来事に着目するということには変わりありません。その瞬間的な出来事に着目することはいつだって、先延ばし解消のためのヒントを与えてくれるものです。
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