先延ばしの原因を特定することは先延ばしを克服する上でとても重要です。先延ばしの原因を特定するには、まずやるべき課題にとりかかろうとするその瞬間に着目することです。そしてその課題にとりかかろうとしたときに、心の中で自分が何をつぶやいたかをよく考えてみることです。
例えば、その瞬間に「大変そうだ」と心の中でつぶやいていたとします。そのつぶやきが見つかったら、次はその「大変そうだ」をよく観察してみることです。「大変そうだ」は何に対して大変そうなのかを理解することです。それを理解できれば、先延ばしの原因特定に大きく近づくことができます。
その「大変そうだ」をよく観察した結果、例えば、そのやるべき課題を完了させるまでの過程において、自分がこれまで経験したことのない未知の作業をする必要があり、その未知の作業に対する漠然とした不安が「大変そうだ」につながっていたのだということが判明したとすれば、この「大変そうだ」は「どうやったらいいのかわからない」がゆえの「大変そうだ」であることが明らかになるのです。
このような場合には、「大変そうだ」の原因となっている未知の作業が一体どんなものであるのかを自分なりに理解することが優先されるべきです。未知の作業を具体的にイメージできる作業に変えることができれば、未知の作業を完了させるまでの見通しが持てるようになり、「大変そうだ」のつぶやきは「大変そうだけど、やれなくもなさそうだ」などといった言葉に変化しているかもしれません。そのような建設的なつぶやきに変化させることができたら、先延ばしの振る舞いにも変化が起こります。心の中のつぶやきの変容が先延ばし行動の変容につながるのです。
先延ばしの原因にはさまざまなものがあります。実際のところは、ここで挙げさせていただいた例のようにスマートに先延ばしの克服へつながるとは限りません。しかしその先延ばしがどんな原因であるにせよ、やるべき課題にとりかかろうとするまさにその瞬間に、心の中で自分は何をつぶやいたかに着目することには大きな意味があります。そのつぶやきをじっくりと観察することです。そのつぶやきは少なくとも先延ばしの原因を教えてくれます。
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